私はこれまでの人生で色々な国に住んでましたが、同時に色々な国も旅してきました。その中でも仕事で訪れる機会があったシリアは非常に印象深い。
滞在した首都のダマスカスは世界最古の都市の一つ。紀元前3000年からメソポタミアと地中海やエジプトを結ぶ交易拠点の古代都市として発展しました。街を歩くだけで人々の日常生活の中に古代文明の建物が馴染んでいることに驚きます。
2011年には内戦で国内は混乱して、焦土と化して荒廃してしまったのも記憶に新しい。私が訪れた1999年はまだ平和で、街を歩くと先代のハーフィズ・アサド大統領の肖像画があちこちの壁に貼られていたのを良く見かけました。
その歴史の深さや街並みの美しさと同じぐらい印象に残ったのが、シリア料理の美味しさ。その中でもほぼ毎食の様に前菜として出てきたのフムスはすぐに大好物になりました。
クセになったフムスという料理
シリア料理はどれも美味しくて感動したのですが、フムスは何度も食べるうちに味が記憶に刻み込まれ、帰国後にはレシピを調べて自分でも作るようになりました。
フムスはひよこ豆(カルバンゾともチックピーとも)、タヒーニ(練りごま)、ニンニク、レモン汁などを潰して練ったペースト状のディップで、ピタパン(シリアパン)と一緒に食べます。フムスをこのピタパンにつけて食べるのですが、滑らかな豆の食感、ごまとニンニクの風味、爽やかなレモンの程よい酸味がクセになる料理です。
この料理はシリアだけでなく、パレスチナ、レバノン、ヨルダン、イラク、エジプトなどの中東諸国でも広く食べられており、今やアメリカやヨーロッパでも人気の料理となりました。
また、ピタパンは日本ではトルコ料理のケバブでもおなじみ。中東では広く食べられているフラットブレッド(平たいパン)で、ピタというのはヘブライ語(イスラエル)の呼び方になります。
アラビア語ではホブス、トルコ語ではピデと呼んだり、エジプトではシャミー(「シリアの」という意味)、ブラジルではシリアパンという意味の「Pão sírio」という名前で売られているようです。アメリカやイギリスでは普通に「ピタ」として知られてます。
業務スーパーで見つけたフムスとピタパン
クラシックフムス Mazete Classic Hummus
さて、そんな大好物のフムスが業務スーパーで売られているとあっては、買わないわけにはいかない。クラシックフムスとレッドチリの2種類があり、どちらも215g入りで¥248(税別)。今回はクラシックフムスを選びました。
このフムスは本場のヨルダンから輸入されたもので、パック入りで常温保存可能なもの。開封後はもちろん冷蔵が必須で一週間ぐらいで食べきるのが良いでしょう。
ピタブレッド La Canasta Pitta Bread
フムスと一緒に以前から気になっていた冷凍ピタパンのPitta Breadも同時に購入しました。フムスを食すときにピタパンは欠かせません。こちらは5枚入りで¥298(税別)でイギリスからの輸入。
中東のパンなのに何故イギリス?実はイギリスには中東系やイスラエル系の移民が非常に多く、実際に筆者が子供の頃に通っていた現地校にも中東系やイスラエル系の友達が結構いました。日本でフランスパンが当たり前に買えるように、イギリスではピタパンが当たり前に買えます。
冷凍のピタパンは、5枚が個別包装ではなく一緒に入って冷凍されてました。1枚皿に出して、レンジで1分加熱すれば出来上がり。今回はフムスと合わせるので8等分に切りました。
フムスとピタパンを食べてみる
フムスの味は?
フムスは食べた感じは少し味がボヤッとして若干豆臭い感じというか、常温保存ができる食べ物なので仕方がないのかもしれないですが、缶詰っぽさの様な「保存食」感が少しある。また、フムスの特徴的な味となる酸味とレモンのフレッシュさが足りない。
ただ悪いところばかりではなく、ペーストはとてもなめらかで食感は良い。ちょっと調味料をいくつかプラスして手を加えてみました。ガーリックパウダー、パプリカ、オレガノを少々と、レモン汁とオリーブオイルをかけてみる。しっかり美味しいフムスの味になりました。「ああ、これなら全然ありだな」と思いました。
フムスは自分で材料を揃えて作ったものを出来立てで食べていたので、それと比較してしまうのは酷だったかもしれません。またフムスを盛り付ける時は、オリーブオイルや香辛料が彩りよくトッピングするのが一般的。お皿に盛り付けるときに調味料を加えるというのが正しい使い方なのかもしれません。
ピタパンの方はどうか?
ピタパンの方はもう言うことなしで美味しく、簡単な電子レンジの加熱だけでフワフワな仕上がり。このパンは準備する時間が取れない朝なんかいいかも。基本的にシンプルな材料で作られたパンなので淡白で、普通の食パンよりは少し乾いた感じです。
難があるとすれば、少しだけ値段が高めかなと感じるぐらいでしょうか?1枚あたり60円ほどしてしまうので、一般で売ってる食パンが1枚あたり20-30円と比べると高い。
ただ、ピタパン自体が入手できるのは非常にありがたい。昔は成城石井でたまに見かける程度で、なかなか手に入らなかったのでフムスの時は食パンで代用してました。それを考えると、冷凍保存もできて電子レンジで温めればいつでも食べられるのは最高。近所の業務スーパーでは在庫が切れてることも少なくないので、なんとか補充も頑張って欲しいです。
まとめ
この業務スーパーのフムスとピタパンの組み合わせですが、ワインのアテにサッと一品欲しい時や、ホームパーティーで「もう一品」のフィンガーフードが欲しいときのために買っておくのも良いと思います。ただ、そのままではフレッシュさが足りないので、少しの調味料、レモン汁とオリーブオイルをトッピングすることをオススメします。
私はフムスを食べる度に、初めて食べたダマスカスの薄暗い洞窟のようなレストランのことを思い出します。早く世界情勢が落ち着いて平和になって、人々が美味しくご飯を食べることができて、自由に世界を旅することができるようになればと願うばかり。
そして、早くワイワイと友達と集まって、みんなでフムスでも食べながらワインを飲みたいものです。業務スーパーにはひよこ豆(チックピー)の缶詰めも売ってるので、いずれはそれを使って作るレシピも紹介したいと思います。
コメント