1年ぐらい前、妻から通勤用のBluetoothイヤホンを選ぶのを手伝って欲しいと頼まれました。
左右が片耳ずつ独立した完全独立型は落として紛失しやすい。それなら使わない時は、首にかけたまま前でマグネットで止められるネックバンドタイプのものが良さそうと決め、無事良さそうなものが見つかって購入しました。
しかし、しばらくすると妻が不満そうに「使い物にならないんだけど、使ってみて」と言って、イヤホンを私のところに持ってきた。使ってみるとその通りで、結果的に私がアマゾンのステマレビューに騙されてしまったのだと感じてます。
オーディオにはソコソコのこだわり
自分はオーディオマニアと言うほどではないけれども、音楽鑑賞以外に楽器・DTMに使用するヘッドホンやイヤホンを複数所有。若い頃にスピーカーを自作したこともあって、実用範囲内での音質に対してはソコソコのこだわりがあります。
ワイアレスイヤホンは自分用にジムでトレーニングやランニングするときのためにSOUNDPEATSのQ30を以前購入したこともあります。決して悪いモノではなかったのですが、音質が結構「ドンシャリ」で好みではなく、聴き疲れするタイプ。使用機会が減り、娘が通学用にワイアレスイヤホンが欲しいと言い出したときに譲りました。
妻は音質にそれほどこだわるということもないので、SOUNDPEATS Q30と同じぐらいのレベルのものであれば十分と考えてイヤホンを探しました。
レビューが高いEvio X1を選んだ
Amazonで色々と物色してみると、売上ランキング上位のEVIO X1がレビューも多く評価4以上、レビュー内容も概ね好意的で、読む限りは音質も悪くなさそう。価格も¥1889(税込)で凄く手頃だし、音質にこだわらない妻であれば、ちょうど良いと思って決めました。
届いた商品のパッケージはなかなかカッコイイもので、デザインは結構好みのもの。パッケージ内のイヤホンの梱包も納まりが良く、プロフェショナルなパッケージデザインだと感じました。
商品本体も派手さはないものの質感は悪くないし、見た目の安っぽさもなく良く纏まってる。コレはいい買い物ができたんじゃないかと期待が膨らみました。
試しに自分のスマホとペアリングをしてみると、すんなり問題なくできた。軽く試聴をしてみると、音は「ちょっと薄い」という印象でした。まだ慣らしてないし、機能上の問題はないし、妻が使うには「十分じゃないか」と思って、妻にイヤホンを渡しました。
ただ、今思えば、異様なレビュー数の多さは本来は警戒すべきでした。後述しますが、届いた商品には不思議なカードが入っていて、コレが実はステマを疑う十分な証拠でした。
妻から返されて自分で使ってみる
3-4ヵ月すると妻からクレームが上がってきた。なんでも「電車の中で使っているとブツブツと音が途切れる」「何かに干渉を受けている感じがする」ということで、何度もBluetoothを切って再接続してみたり、設定を削除してから再ペアリングしてみても直らないとのことでした。
こうしてEVIO X1は私の手元に戻ってきて、私のウォーキング用のイヤホンへと降格となった。私自身がしばらく使用してみたのでレビューをしてみたいと思います。
音が途切れるトラブル
音が途切れたり干渉を受ける感じは、何回かのウォーキングではありませんでした。しかし、ある天気の良い週末、普段より人出が多い緑道を歩いているとこの問題が現れ、1時間ほどのウォーキング中に3-4度発生。
途中で試しに再接続や再ペアリングもしましたが、妻の言う通り解消しません。今でもEVIO X1をウォーキング中にオーディオブックを聴くときに使うのですが、平日の人出が少ない日は問題がなく、人混みに入ると起きるので、確かに電車内では使い物にならないかもしれません。
音が薄くて音楽鑑賞には向かない
1800円程度で購入したイヤホンで多くを求めるのは間違ってるとは思いますが、購入してすぐに感じた「音の薄さ」は、しばらく使っても気になりました。
結論から言うと、音質的は音楽再生には向かないと思います。高域と中高域が音成分として多く、かと言って解像度が高い訳ではなく、電話の時に聴く音声みたい。人の話してる声は聞き取りやすいので、オーディオブックを読み上げてるのを聞くには丁度良いです。
低音もちょっと足りないのですが、それよりも中低域がスカスカなのが決定的。音楽を聴くとき、私は決して低音や中低域が強い音は好みではないですが、不十分だとアンビエンスが感じられない。例えば生楽器の残響音や艶がなく、音の奥行きが感じません。生楽器が中心の音源は厳しいと思います。
例えが分かりにくいかもしれませんが、グラフィックイコライザーでいうと「125」「250」あたりのレバーを「子供がイタズラして下げちゃったかな?なんかバランス悪い」、「DJミキサーのミッドを一度下げてフラットに戻すのを忘れちゃった?」みたいな印象です。
私はベースラインの音程を耳で追って聴くのが好きなのですが、鳴っているは分かるけど音程感がボヤっとして聴き取りにくい感じです。ただ、電子音がブースト気味な味付けのEDMっぽい曲は普通には聴けました。
音質に関しては「飛行機で配られるイヤホンよりはマシかな?」というのが私の印象です。
バッテリー
「再生持続時間:8-10時間」という商品説明ですが、再生持続時間は使用してみた感じでは3-4時間程度だと感じました。
1時間10分ほどのウォーキングに2度使用したところ、3度目に持ち出そうとしたときには「Battery Low」と音声が流れ、それを無視して使っていたら使用して10分程度で電源が切れました。バッテリーが劣化したのかもしれないですが、仮にそうでも1年未満でバッテリーが劣化するのは早すぎると思います。
充電口のカバーがもげた
妻から戻ってきたときにはUSBの充電口のカバーはもげた状態。通常はUSBポートの横の穴からカバーがぶら下がる形になってますが、「カバーがもともと外しにくくて、早い内にちぎれた」とのことです。
謎のサンキューカードはステマ?
商品を開封するときに、ちゃんと読まなかったのですが中に不思議なサンキューカードが入ってました。カードを良く見返してみると「プレゼント無料GET」と書いてあります。この商品のレビューを投稿してそのスクリーンショットを送ると、アマゾンギフト券を7日以内でメールで貰えるそう。悪い評価を投稿するとどうなんでしょう?
ネット上を調べてみるとAmazonギフト券を貰えたという人の話もチラホラ。星5以下のレビューだと「もっと高い評価をお願いします」と催促する返信が来るとか、高いレビューにすればギフト券が貰えたとか。また、もらったギフト券を使うと、バレてアカウントが停止される恐れがあるとか。
商品に同梱されてますので、メーカーがステマレビューを推奨していると言って間違いない思います。現在のEVIO X1のページを見に行ってもギフト券の効果なのか、レビュー数も異常に多くて1万件を超えてます。
以下の英語版のCNETの記事では、Amazonはステマレビューを”Incentivized Reviews”(インセンティブが付加したレビュー)として認識していて、過去にこの行為が判明したAUKEYやMPOWの商品は取扱禁止になったとのこと。日本のアマゾンでは検索しても出てくるので、対応がまだアメリカほど厳しくないのかもしれません。
まとめ
結局EVIO X1は微妙な買い物でしたが、Amazonのレビューは買い物をする際には信用できないことを改めて強く感じました。確かにここ数年はAmazonでモノを探すときは、毎回レビューが嘘っぽくないかを確認する様になってしまった。
確かに低評価レビューもあったので、それを良く読まなかった自分も悪いのかもしれません。しかし、レビューの多くがステマで得た高評価レビューだったとしたら、騙されてしまうのは私だけではないハズ。
中国のメーカーは全て駄目だとは決めつけてませんが、レビューが信用できず買って失敗するリスクがこのまま高くなり続けると、いくら安くても安易に手が出せなくなります。
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